CS-40Vで出力が出ない場合のヒント
偉そうなタイトルつけてますが、同じ悩みにもがいている方の助けに少しでもなればと思いから、この投稿をポストいたします。
送信部の調整、初心者には、大変ですよね!
私は、8/22から作り始めたCS-40V、12/18に、ついに完成しました。
のべ、約4か月もかかってしまいました。
自作初心者の自分には、心折れる瞬間が何度もありました。
しかし、良いキットなので、諦められない!このリグでどうしても、交信したい!
そんな気持ちで、なんとか完成にこぎつけることができました。
あとはIFTの微調整繰り返しやアイドリング調整など、
もう少し出力を得る為に最終調整が残っていますが(最大10W)、
パワーが全く出ない、という致命的な問題は解決しました。
いったんここで、これまでの製作を振り返ってみようと思います。
8/22
CS-40V制作着手開始。
ステップバイステップマニュアルに沿って、意外なほど順調に制作が進行。
8/28
BCLラジオとの鳴き合わせを完了し、この時はいったん完成とした。
11/11
完成した本機で交信テストをしようと思いパワー計でパワーを計測するも、出力0Wとなっている事がわかる。再度、BPFのIFTコア、トリマコンデンサなどを調整するも、やはり0Wのままである。
11/16
丹波OMの安定化電源の製作記事を読み、出力アップのヒントを得る。
うまく動かないのは、電源が12V 1Aの汎用アダプタだからかもしれないと推察。
CS-40Vの説明書を見ると送信時に2A必要とちゃんと書かれていた。これか、と思い、秋月の電源キット「DC0.8V~24V 最大5.5A可変スイッチング電源キット(降圧) SI-8008HFE使用」を注文し、製作。
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-06970/
11/18
完成した秋月の安定化電源で送信テストを行おうとしたところ、誤ってDC24Vを入れてしまい、ドライブ段のトランジスタのエミッタ側にある10Ωの抵抗2本が燃える事態に!
受信部は8Vのレギュレータで、大きな入力があっても保護されていた為、無事であった。
その後、焼けてしまった10Ω抵抗の交換、各所電圧を計測すると、ドライブ段のBD139のベース、エミッタ電圧が異常であった。原因が分からず。また、基板のダメージが大きくなってきており、不具合箇所の特定が困難に。
12/14
半田ごてを新調。温度調整が出来るタイプの定番機種を選択。
基板の再構築を開始。
12/16
中島OMから、デモ機到着。
ハンダ付けの状態、インダクタや抵抗のカラーコード間違いが無いか、自分の基板とデモ機を見比べて比較検討。一か所、104コンデンサの付け忘れがあった・・・
また、やはり、デモ機では、当然、パワー計は振れるようだ。
パワー計は自作の為、こちらの不良も、疑っていたが、そこは違うと、この段階で切り分けできたのも大きい。
12/17
基板の再整備を終え、改めて送信テストを実施。
BCLラジオからは元気に自分の声が聞こえてくるが、
パワー計がまたもや、0W。
電圧は全ての主要パーツが正常。
その他、BPF用IFTコイルの交換(サトー電気のコイルがうまく回せなくなったためデフォルトのDIY-7に変更)や、T3コアのコア数を2個から(デモ機と同じ)1個に変更を実施したが、状況に変化なし。
気になった点としては私の実機のほうは、T3コアを触っても、BCLラジオからの信号が大きくならない点。
デモ機では、T3コアを触ると音がが大きくなる。
また私の実機では、T3コアもファイナルも、熱くならない。
Webの解説では、ファイナルTRへのバイアスが大きすぎると、焼けてしまうとあったのに、これはおかしい。
ドライブ段のD882は大変熱くなる。
いったん検証を終了。
12/18
ついに、パワー計の針を振らす事に成功した。
成功に至る経緯
なぜ、パワーが出ないのか?
デモ機と自分のマシンをじっくりと比較、観察していると、T1〜T3のトランスのバイファイラ巻きの2本の線の捩りがデモ機は密であると感じた。
そこで中島OMが怪しいと予測したT3から順に、巻き直した。
①T3の巻き直し後テスト
T3に触れると信号が歪むようになった
LPFの右は相変わらず触っても変化なし、しかし、出力は変わらず0W
②T2 の巻き直し後テスト
T3に触れると明らかに信号が大きくなった
LPFの右に触れると音が大きくなった
出力は変わらず0W
③T1の巻き直し後テスト
T1取り外し前に、巻き直しの前の状態をチェックした際、T1の三つの基板の穴のうち、上の穴に繋がっているトランスの線が真ん中の穴にショートしているように見えました。恐らくこれが今回パワーが出なかった原因。
巻き直し、装着後、最初0W で、やはりダメか、と思い、ファイナルのバイアス調整用トリマを、真ん中より少しだけ時計回りに回したところ、0.1Wに変化した!成功の瞬間。
さらに、BPFの左側のコアを少し回すと、1.3Wくらいまで増加。
安定化電源を12→13.8Vまで上げると、パワーは1.5Wまで上昇。
まとめ
コイルは巻けばいいってものじゃない
今回一番の教訓は、コイルは巻けばいいってものじゃない、ということ。
まずは、バイファイラ巻きの2本線を撚り合わせる密度。かなり密に撚り合わせたほうが、良い結果になりました。
T3から、T2、T1の順に巻き直し→検証、をくり返す中で、巻き方でこんなにも結果が変わるものかと、驚きと発見がありました。
また、注意点としては、撚り合わせた線が、要らぬ所でショートしてしまわないようにする必要があります。
線端[A]-[A’]と[B]-[B’]を[A] – [A’+B’] – [B]と三つの線端が出ている状態で、今回、T1の[A] – [A’+B’] – [B]の3つの線のうち、[A’+B’] – [B]間が基板上でショートしておりました。
こうした点は、初心者は、本当に、なかなか、気づくことができない点です。
これらは、実機(デモ機)と比較できたために、気付けたので、こうした計らいを考案してくださった、頒布元の中島OMには、本当に感謝しております。
電源のアンペア(電流)は意外と盲点
今まではQRPの3W程度のリグしか作ってこなかったため、12V 1アンペアの汎用ACアダプタで何とかやってきました。
しかしCS-40Vは、10Wというパワーがでる無線機なので、2A以上、取れる電源でないといけません。
ここに気付かず、パワーが出ない、とやっていました。
電圧のほうは、皆さん気にすると思いますが、電流のほうはあまり気にしないかたも多いのではないでしょうか。
10Wのトランシーバーであれば、3Aくらい取れる電源を用意しましょう。
ハンダごては良いものを!
これも大きかったです。
ハンダ不良に悩まされていたため、思い切って、今まで使っていた、ドライバーやベンチなどとセットになった工具セットに入っていた、ウン十年ものの安物コテから、白光のFX-600というこてに乗り換えました。
温度の調整ができる定番モデルで、普通の部品はなるべく320度、どうしてもハンダの乗りが悪い時は370度、コネクタなどの大きな部品やポリウレタン導線のハンダメッキをする際には420度、といった感じで、切り替えていました。
結果、再チャレンジ時のハンダ付けの不良は、ゼロでした。
前のハンダごてで作った基板と、新しい半田ごてで作った基板、明らかに裏面の仕上がりが美しいです。
前のほうは温度が上がりすぎていたのでしょう、焦げた感じにハンダがくすんでいます。
新しい方は適温で溶接されているため、ピカピカです。
今回、出力ゼロの原因はハンダ不良ではなく、トランスのバイファイラ巻きだったのです。
こうしたちゃんとしたハンダごてを使うと、ハンダ不良が減り、結果として電子工作の成功率アップにつながり、投資はすぐに回収できると感じるでしょう。
その他雑感
あとは、姿勢としては、粘り強く、あきらめないことが大事。
不明点があるときは、調べられることは、自分で主要パーツの電圧など、データを取って調べ上げたうえで、頒布元の中島OMに質問をすることで、解決に向けた大変有用なヒントをいただけるかと思います。